トラビス・ダーノー(Travis E. d'Arnaud, 1989年2月10日 - )は、アメリカ合衆国カリフォルニア州ロサンゼルス郡レイクウッド出身のプロ野球選手(捕手)。右投右打。MLBのロサンゼルス・エンゼルス所属。愛称はリルディー(Lil' D)。
経歴
プロ入り前
ロングビーチ近郊のレイクウッドで生まれる。ロサンゼルス・ドジャースのファンとして育ち、子供の頃に憧れていた選手はマイク・ピアッツァだった 。地元のレイクウッド高等学校に進学し、卒業後は兄チェイスと同じくペパーダイン大学への進学を予定していた。
プロ入りとフィリーズ傘下時代
2007年のMLBドラフト1巡目追補(全体37位)でフィラデルフィア・フィリーズから指名され、83万2500ドルの契約金で入団した。
2009年はA級レイクウッド・ブルークロウズで初めてフルシーズンを過ごし、打率.255、13本塁打、71打点、38二塁打を記録した。
ブルージェイズ傘下時代
2009年12月、ロイ・ハラデイとのトレードで、カイル・ドレイベック、マイケル・テイラー(直後にブレット・ウォレスとトレード)と共にトロント・ブルージェイズへ移籍した。ベースボール・アメリカ誌からは、ブルージェイズ内ではドレイベック、ウォレスに次ぐ3位、マイナー全体では81位の有望株と評された。
2010年はA 級ダニーデン・ブルージェイズでプレーしたが、背中を痛めて71試合の出場に留まり、打率.256、6本塁打だった。それでもスカウトからの評価は揺るがず、オフにはベースボール・アメリカ誌の有望株ランキングにおいて、ドレイベックに次いで球団内2位、マイナー全体では36位という高い評価を受けた。
2011年はAA級ニューハンプシャー・フィッシャーキャッツでプレー。打率.311、21本塁打、78打点という好成績を残してイースタンリーグのMVPに輝いた。同年11月19日にブルージェイズの40人枠に入った。オフの10月に開催されたグアダラハラパンアメリカン競技大会の野球アメリカ合衆国代表に選出された。また、ベースボール・アメリカ誌のランキングを17位に上げ、マイナーで最も有望な捕手の1人と見なされるようになる。
2012年はAAA級ラスベガス・フィフティワンズで打率.333、16本塁打、52打点を記録し、メジャーデビューは目前であったが、6月25日に二塁ベースへ併殺崩しのスライディングを行った際に膝の靭帯を損傷して残りのシーズンを棒に振った。
メッツ時代
2012年12月17日にR.A.ディッキーと捕手2人とのトレードで、ジョン・バック、ノア・シンダーガード、ウィルマー・ベセラと共にニューヨーク・メッツへ移籍した。
2013年8月17日のサンディエゴ・パドレス戦でメジャーデビュー。この年は31試合に出場し、打率.202、1本塁打、5打点という成績を記録した。
2014年は正捕手に抜擢されたが、打撃不振により6月にマイナーに降格した。しかし、同月中に再昇格すると、以後は打撃の調子を取り戻した。最終的に108試合に出場し、打率.242、13本塁打、41打点、1盗塁という成績を残した。一方で守備面では105試合の守りで9失策、守備率.990という成績だった。捕逸12はリーグワーストで、盗塁阻止率も19%(産出方法によっては13%)だった。ルーキー・オブ・ザ・イヤーの投票では7位にランクインした。
2015年は複数回故障者リスト入りした影響もあり、67試合の出場に留まった。
2016年4月26日、右肩の故障で故障者リスト入りした。この離脱の影響もあって75試合の出場に留まり、打率.247、4本塁打、15打点という成績に終わった。
2017年8月16日のニューヨーク・ヤンキース戦ではテリー・コリンズ監督の起用により緊急措置として内野手を守ることになったが、守備のいいアズドルバル・カブレラと入れ替わりで、右打者のときは二塁手に、左打者のときは三塁手の守備に就き、その入れ替わった回数は22回(18回という説もある)の珍記録となった。
2018年はトミー・ジョン手術を受けたため、シーズンをほぼ全休した。
2019年4月28日にDFAとなり、5月3日にFAとなった。
ドジャース時代
2019年5月5日にドジャースとメジャー契約を結んだ。
レイズ時代
2019年5月10日に金銭トレードで、タンパベイ・レイズへ移籍した。7月6日のヤンキース戦で自身初のサヨナラ本塁打、7月15日のヤンキース戦で自身初の1試合3本塁打、7月21日のシカゴ・ホワイトソックス戦で自身初の満塁本塁打を記録するなど、この月は打率.342、8本塁打、25打点、OPS1.136などの大活躍だった。シーズンでは3球団合計で打率.251、16本塁打、69打点などを記録した。 オフの10月31日にフリーエージェント(FA)となった。
ブレーブス時代
2019年11月24日に2年総額1600万ドルでアトランタ・ブレーブスと契約した。
2020年は自身初めてシルバースラッガー賞を受賞した。
2021年チームがワールドシリーズに進出し、ヒューストン・アストロズを4勝2敗で下し優勝。自身初めてとなるワールドシリーズ優勝を経験した。
2022年はオールスターゲームに控え捕手として選出され、チームメートで捕手のウィリアム・コントレラスも選出された。同じチームの捕手が2人オールスターに選ばれるのは、1962年のニューヨーク・ヤンキースでヨギ・ベラとエルストン・ハワードが選出されて以来初めてのことである。シーズンでは、打率.268、18本塁打、60打点、出塁率.319、長打率.472を記録した。またキャリアでシーズン最高となる2.9WARを記録した。
2024年オフの11月4日にFAとなった。
エンゼルス時代
2024年11月12日にロサンゼルス・エンゼルスと2年総額1200万ドルの契約を結んだ。
人物
2歳年上の兄のチェイス・ダーノーは内野手としてMLBに出場した。
姓のd'Arnaudは"dar-NO"と発音する。
メジャー初昇格時に背ネームのワッペンに小文字のdがなかったため大文字のPを天地を逆にして代用した(兄のチェイスがピッツバーグ・パイレーツでデビューした際においても同様の対応がなされているが、本来の小文字のdに比べて下辺右側の切れ込みがないという相違点がある)が、メッツ傘下の若手有望株に他にもマット・デン・デッカー、ジェイコブ・デグロムという小文字のdで始まる姓を持つ選手がいたため用具担当者がメーカーのマジェスティック・アスレティックにかけあって同年中に小文字のdを用意してもらった。
詳細情報
年度別打撃成績
- 2024年度シーズン終了時
年度別守備成績
- 2024年度シーズン終了時
- 各年度の太字はリーグ最高
表彰
- シルバースラッガー賞(捕手部門):1回(2020年)
背番号
- 15(2013年 - 2014年)
- 7(2015年 - 2016年7月4日)
- 18(2016年7月5日 - 2019年4月27日)
- 72(2019年5月9日)
- 37(2019年5月11日 - 同年終了)
- 16(2020年 - 2024年)
- 25(2025年 - )
代表歴
- 2011年パンアメリカン競技大会野球アメリカ合衆国代表
脚注
関連項目
- メジャーリーグベースボールの選手一覧 D
- 兄弟スポーツ選手一覧
外部リンク
- 選手の通算成績と情報 MLB、ESPN、Baseball-Reference、Fangraphs、The Baseball Cube、Baseball-Reference (Register)
- Travis d'Arnaud stats MiLB.com (英語)
- Travis d'Arnaud (@TdArnaud) - X(旧Twitter)
- Travis d'Arnaud (@travisdarnaud) - Instagram



