萌黄(もえぎ、萌葱、萌木)とは鮮やかな黄緑色系統の色。春に萌え出る草の芽をあらわす色。若草色とも呼ばれる。桃色が補色となる。
萌黄とその派生色について
「萌黄」は、「萌葱」「萌木」とも書かれることがあるが、一般的には「萌黄」を用いる。黄色を加えた鮮やかな緑が「萌黄」、暗い緑が「萌葱」、青みがかった緑は「萌木」と以下のように分類される。以下がその3色の違い
色的にはフランスのヴェール・シャルトルーズと類似しているほか、萌黄色をかなり淡くすれば若菜色や若芽色と呼ばれる色となる。
この萌黄から更に黄色みが強まると、鶸色に近い鶸萌黄になる。鶸萌黄は着物にもよく用いられ、和を象徴する色の一つとなっている。萌黄が後述のように平安時代からあったのに対し、鶸萌黄は江戸時代に誕生したものとされる。
用途
若者の象徴として使われるパターンが多く、「平家物語」における平敦盛(小説においては17歳)や那須与一(小説においては20歳)も若者を表すために萌黄の鎧を着ているとされている。その他、『栄花物語』や『紫式部日記』の他、室町時代までの軍記にはよく登場していた色である。
平安時代では有職装束に萌黄色を基調とする「萌黄の匂」があった。「萌黄の匂」ではより淡萌黄、淡萌黄、萌黄、濃萌黄、紅単から成る。また、有職装束において、春の部では萌黄色と白色を合わせて使い、秋の部では黄色や蘇芳色を混ぜて、季節の表現に用いていた。
現在でも、萌黄の館として有名な旧シャープ住宅など、萌黄を基調としたデザインの建物も存在している。
脚注
注釈
出典
参考文献
- 八條忠基『有職装束大全』平凡社、2018年。ISBN 978-4582124323。
- 三浦寬三『色の和名抄』創文社、1984年。ISBN 978-4423130049。
- 木村孝『和の彩りにみる色の名の物語』淡交社、2001年。ISBN 978-4473018564。
- ポーポー・ポロダクション、今日マチ子『美しい彩りが伝わる 色ことば辞典』日本文芸社、2023年。ISBN 978-4537221145。
- ポーポー・ポロダクション『色と性格の心理学』日本文芸社、2018年。ISBN 978-4537216264。
- 日本色彩研究所、福田 邦夫『増補改訂版 色の名前事典519: データ、由来など豊かなる色の魅力がすべてわかる』主婦の友社、2023年。ISBN 978-4074531158。
- 吉田雪乃『日本の色図鑑』マイルスタッフ、2018年。ISBN 978-4295401759。
- 日本色彩学会『散歩が楽しくなる 日本の色手帳』東京書籍、2021年。ISBN 978-4487814923。
- マニマニ『マニマニ 神戸(2020年版)』JTBパブリッシング、2019年。ISBN 4533109411。
関連項目
- 色
- 色名一覧
- 日本の色の一覧
- 黄緑6号(国鉄色)
- 北海道旅客鉄道(コーポレートカラー)
- 萌黄の館




