ビル・プロンジーニ(Bill Pronzini、1943年4月13日 - )はアメリカ合衆国の推理小説作家。アンソロジストでもあり、ミステリー、西部劇、サイエンス・フィクションなどの短編小説を集めたアンソロジーを100以上編んでいる。カリフォルニア州ペタルマ出身。
人物
サンタ・ローサ短期大学中退後、数々の職業を経て、1969年に作家に転向。1971年に処女長編 The Stalker でデビュー。
しかしプロンジーニの作品で最も有名なのは《名無しの探偵》シリーズで、こちらも最初の長編『誘拐』は1971年の刊行である。「ネオ・ハードボイルド」派の一員とされた。2009年4月現在で同シリーズは35冊以上になっており、短編集もいくつかある。シリーズの中で主人公である名無しは作者や読者と共に年齢を重ね、徐々に普通の人へと成長し円熟している。描かれる犯罪はミステリーとしては一般的な範囲内であり、暴力シーンの描写は比較的少ない。プロンジーニの作風はプロットよりも人物描写を重視したものである。主人公はシリーズの進展と共に成長しているため、順番に読んだほうがわかりやすい。同シリーズは約20カ国語に翻訳され、30以上の国で出版されている。名無しの探偵の特徴である、パルプ雑誌のコレクションをしていることや、愛煙家であることは、プロンジーニ自身の特性が反映されている。
3度結婚しており(2度はいずれも離婚)、現在の妻はやはり推理作家のマーシャ・ミュラー(1944年 - 、1992年に結婚)。小説の合作や推理小説のガイドブックの共著があり、アンソロジーの共同編集も多数手がけている。
ウィリアム・ジェフリーはジェフリイ・M・ウォールマンとの共同ペンネームである。
1987年、アメリカ私立探偵作家クラブ (PWA) から貢献賞の The Eye を授与された。2008年にはアメリカ探偵作家クラブ (MWA) からMWA賞 巨匠賞を授与された。
作品
名無しの探偵シリーズ
その他の作品
アンソロジー
- 『現代アメリカ推理小説傑作選01』 Tricks and Treats (1976) ジョー・ゴアズとの共同編集
- 『1ダースの未来 SF合作ゲーム傑作選』 Shared Tomorrows: Science Fiction in Collaboration (1979) バリイ・N・マルツバーグとの共同編集
- 『エドガー賞全集 -アメリカ探偵作家クラブ傑作選6』 The Edgar Winners (1980)
受賞・ノミネート歴
- 1972年:"The Stalker" でエドガー賞 処女長編賞ノミネート
- 1979年:「霧の中から」でエドガー賞 短編賞ノミネート
- 1982年:『脅迫』でシェイマス賞 長編賞受賞
- 1983年:"Gun in Cheek" でエドガー賞 評論・評伝部門ノミネート
- 1984年:「ライオンの肢」でシェイマス賞 短編賞受賞
- 1986年:『骨』でシェイマス賞 長編賞ノミネート
- 1987年:シェイマス賞 ジ・アイ賞受賞
- 1987年:"1001 Midnights: The Aficionado's Guide to Mystery Fiction" (マーシャ・ミュラーとの共著)でマカヴィティ賞評論賞受賞、エドガー賞 評論・評伝部門ノミネート
- 1989年:「近くの酒場での事件」でエドガー賞 短編賞ノミネート
- 1989年:『報復』でアンソニー賞 長編賞ノミネート
- 1990年:「サンタクロースがやってくる」でシェイマス賞 短編賞ノミネート
- 1996年:"Home is the Place Where" でシェイマス賞 短編賞ノミネート
- 1996年:"Blue Lonesome" でアンソニー賞 長編賞ノミネート
- 1997年:"Sentinels" でシェイマス賞 長編賞ノミネート
- 1998年:『よそ者たちの荒野』でエドガー賞 長編賞ノミネート、バリー賞 長編賞ノミネート
- 1999年:"Boobytrap" でシェイマス賞 長編賞受賞
- 2001年:「大きなひと噛み」でシェイマス賞 短編賞ノミネート
- 2007年:"Devil's Brew" でシェイマス賞 短編賞ノミネート
- 2008年:エドガー賞 巨匠賞受賞
- 2010年:"Schemers" でシェイマス賞 長編賞ノミネート
脚注
関連項目
- 火曜サスペンス劇場「名無しの探偵シリーズ」




