マクラーレン MP4-29 (McLaren MP4-29) は、マクラーレンが2014年のF1世界選手権参戦用に開発したフォーミュラ1カーである。
概要
MP4-29は2014年1月24日にインターネット上で公開された。
MP4-29は2014年レギュレーションに沿う形で、細長く伸ばされたフロントノーズが特徴的である。また、フロントサスペンションは、前年のMP4-28が採用したプルロッドサスペンションをやめ、プッシュロッドサスペンションに戻している。
最大の特徴はリアサスペンションの後方アームの形状で、通常は楕円形の断面をしているが、MP4-29は立て板の様に上下に膨らんでいる(通称「ブロッカー」)。これはレギュレーションで禁止されたリアウィング支持板(ビームウィング)のような空力的役割を果たし、低速時のダウンフォース増加と高速時のドラッグ削減を狙ったものとみられる。メルセデス製PUを搭載しながら他の搭載チームに比べ最高速が伸びない症状に苦しみ続けた。
カラーリングはタイトルスポンサーのボーダフォンが撤退したことにより、赤と白の部分がなくなった。
この年はリヤウィングとサイドポンツーンでレース毎にスポンサーを募る方式となり、Mobil、ESSO、ガルフ・エア、SAP (企業)などが参加、1戦毎にロゴを変えていた。シーズン後半はSAPがコクピット前部に新たに黄色のロゴを追加した。
スペック
シャーシ
- シャーシ名:MP4-29
- シャーシ構造:カーボンファイバー/ハニカムコンポジット構造
- ブレーキキャリパー:曙ブレーキ工業(AKEBONO)
- ブレーキディスク・パッド:AKEBONO ベンチレーテッド式カーボンファイバーディスクブレーキ
- サスペンション:前後独立懸架 前輪プッシュロッド式/後輪プルロッド式トーションスプリング
- 無線:ケンウッド
- ホイール:エンケイ
- バッテリー:リチウムイオンバッテリー 20-25kg
- 重量:691kg(冷却水・潤滑油・ドライバーを含む)
- タイヤ:ピレリ P-Zero
エンジン
- エンジン名:メルセデス PU106A Hybrid
- 気筒数・角度:V型6気筒・90度
- 排気量:1,600cc
- 最高回転数:15,000rpm(レギュレーションで規定)
- シリンダーブロック:砂型鋳造アルミニウム製
- ターボ:シングル
- バルブ数:24
- バルブ駆動:圧搾空気式
- 燃料:エクソンモービル High Performance Unleaded
- 潤滑油:モービル1 エンジンオイル
- 重量:145kg
ERS システム
- バッテリー出力:4MJ(1周あたり)
- MGU-K 出力:120kW
- MGU-K 最高回転数:50,000 rpm
- MGU-H 最高回転数:125,000 rpm
ギアボックス
- ギアボックス:マクラーレン製 縦置き セミオートマチック・シーケンシャル電子制御(クイックシフト) 8速+リバース1速
記録
- † 印はリタイアだが、90%以上の距離を走行したため規定により完走扱い。
MP4-29H 1x1
2015年のエンジンサプライヤーであるホンダが新規開発中のパワーユニットの実走テスト用に、MP4-29を改造したテスト専用車両。
脚注




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